「仕事と私、どっちが大事なの!?」――。
男なら誰しも、こんなことを言われた経験があるのではないだろうか。
本当はどっちが大事だとか、比べられるものでもないと思うのだが、
社会人の恋愛には、この手の問題がいつも付きまとう。
とりわけ、マスコミなど多忙を極める業界で働く者は、
女性と過ごす時間を取りにくいため、恋愛がうまくいかないことが多い。
今回登場する西山さん(33歳・仮名)も、そんな仕事と恋愛の兼ね合いがうまくいかない一人。
「『仕事と私、どっちが大事なの!?』というのは、よく言われますよね。
ホントは『お前がいちばん大事だよ』と言ってあげたいんですが、
実は仕事のほうが大事だったりするんですよね(苦笑)。
やっぱり仕事は面白いし、男は仕事ができてナンボって思っていますからね」
西山さんの仕事は?
「出版社に勤務で、週刊誌の編集部に所属しています」
じゃあ、すごく忙しいんだろうね?
「そうですね。プライベートな時間なんて、ほとんど取れないですね。
まあ、好きな仕事なので、あまり公私の区別はないんですけど。ただ……」
彼女がいると、そうはいかなくなるよね?
「そうなんです。やっぱり、こういう仕事なので土日が休みというわけにはいかないですから、
彼女と時間を合わせるのが大変ですね。平日に早く帰れたり休みを取ることもあるのですが、
今度は彼女の都合がつかなかったりしますし」
まあ、でも、こういう仕事だから、ある程度の時間的な制約があることは彼女もわかっているはずでしょう?
「それはそうなんですけど。いちばん問題なのは、彼女との約束をほとんど守れないことなんですよね。
たとえば、彼女と約束していても急な取材が入ったり、
依頼していた原稿が届かなかったりするような不測の事態が起こると、
約束もキャンセルになっちゃうわけですよ」
それに、そういう不測の事態って、マスコミ業界では普通にあるわけでしょ?
「そうなんですよ。ただ、彼女は業界の実態なんてわからないわけだから、
たびたび約束をキャンセルされると僕に不信感を持っちゃうわけです」
仕事だとか言っているけど、本当は浮気をしているんじゃないか、とか……。
「そうそう。だから、僕のほうで少しでも時間が取れそうな時は彼女との約束を取り付けようとするんですけど、
それがまた彼女の怒りに火をつけちゃうんですよね」
どうして? 忙しい合間を縫って、何とか彼女との時間を作ろうとしているわけだから、
別に怒るところではないんじゃないの?
「まあ、男の立場からすると、そうなんですけどね。
ただ、彼女に言わせれば、自分の都合ばかり考えて、
人の都合を考えずに約束をしたりキャンセルしたり自分勝手すぎる、というわけです」
なるほどね~。
西山さんは彼女のことを考えていろいろ動いているのに、彼女にはそれが通じないどころか、
西山さんが自分勝手でいっぽう的な人間だと思い込んじゃうわけだ。
典型的なすれ違いだね。
ま、よくあることだけど、それだけに事態は深刻だよ。
社会人の恋愛における永遠のテーマではあるんだけど……。
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