ちょっとした飲み会の流れや、パーティーの二次会など、女性と2人きりでお酒を飲むようなチャンスがいつ巡ってくるかわかりません。そんなチャンスを逃すことなく、上手に活用するために、「お酒デート」にフォーカスアップいたします。
まず、男性諸氏にちょっと質問です。
女性を最初にデートに誘うとき、なんて言って誘いますか?
顔見知りで何度か話はしたことがあるような相手だったり、飲み会で知り合って携帯メールのアドレスを交換したりしたばかりの女性に、デートを申し込むときに、です。
食事でもいかがですか?……もいいのですが、これは少し重い。料理の種類、店の雰囲気の選定にしても、実はハードルが高いんです。デートに「乗ったメリット」を女性に感じさせるようなキラーコンテンツ的なお店をセレクトしないといけません。
しかし、お酒はもう少しカジュアル。最初からフォーマルではない雰囲気が滲み出てますから。夏なら「会社帰りに軽くビールでもどうですか?」でいいし、冬なら「モツ鍋の旨い店見つけたんですけど、どうですか?」と、気軽な感じがします。そのお店にひとつでも「コレは旨い!」ってメニューがあれば、もうそれだけでいいんです。だって、あとは「楽しくお酒が飲めれば」いいんですから。
そんな風に、初回のデートの気軽さを応援してくれる「お酒」ですが、馴れていない人にとっては、女性と2人だけの席ってなかなか気詰まりですよね。女性と2人きりで飲みに行く機会が少ないと、やっぱり緊張しちゃいます。それは仕方がないことです。
その緊張の根底にあるのは、恥を掻きたくない、という意識です。
普段居酒屋にしか行かないからどんな店に行ったらいいか分からない、ボトルキープの安い焼酎しか飲まないからそもそもお酒に対する知識がない、そういう「知識の無さ」が女性にバレてしまって恥を掻くことを怖れているんじゃないのでしょうか?
でもね、いいんですよ、馴れて無くて。
お酒に関する知識なんて、そんなに無くていいんです。
実は、お酒の飲める女性には、ちょっとしたトラウマがあるんです。ゲコの男性からの冷たい視線を受けたことが何度もあって、それがちょっとばっかり引っかかってるんです。お酒が好きで、好きが高じて知識が豊富になってしまって、それを指して「可愛くない女だ」とか言われた経験があったりするんです。
ですから、分からないことは聞いちゃえばいいし、素直に感心してあげればいいんです。
だってそもそも「楽しく飲む」ためのセッティングでしょう?どうしたらその女性が楽しく飲めるかを考えたら、自分のお酒に対する無知なんて、どうでもいいハズじゃないですか?
とはいえ、基本的なことを知らないとオーダーもできないし、お酒に詳しくない女性に尋ねられたら簡単なことならば自分で答えたいですよね。
前回は、お酒に関する知識なんて、そんなに無くていい、楽しく飲めるかどうかが問題というお話をしました。
しかし。
そうは言っても基礎的なことくらい知らないとオーダーすらできない、あるいはそれほど飲まない女性とのデートのためにもある程度のことは知っておきたい、そうおっしゃる諸兄には、この言葉を授けましょう。
そう、今から変な付け焼き刃で知識を増やそうとしても、無駄。アガっちゃって失敗するのがオチです。だったら、必要最低限の知識さえあれば、ピンポイントでいいじゃないですか。基本は楽しく飲むことなんですから。
ということで、ここでお勧めしたいのはビールとワイン。この2つなら大抵の少し雰囲気のいいお店には必ずありますし、自分の好みを「適度に」反映することもできますから、無知っぽさがバレません。
ということで、以下にポイントをまとめてみました。
これだけ知ってれば、なーんの問題もありませんよ。
■ビール
流通している種類も豊富で、ウンチクを語りたがる人も多いビール。
しかし、その最大の魅力はなんと言っても手軽さなのですから、ほんと、オーダーするときにある程度の「目安」さえつけば、試しちゃえばいいんです。
まず、ビールをすごく乱暴に分けちゃうと、暑い地域のビールは軽くて、寒い地域のビールは重い、と覚えておくといいでしょう。
メキシコのビールなどはどれも口当たりのさっぱりとした軽い物が多いし、逆にヨーロッパ系のビールは緯度が高い寒いところが大半ですから、多少コクがあってどっしり重い感じなんです。
もう一歩踏み込みましょうか。
冷たくする機械の無かった昔から伝わる製法で作られた発酵温度が高めのビールは「エール」と言われて、個性的な味のものが多いと言えます。
有名なのは、ギネスですね、あの真っ黒な。ちょいと強いですね、これも。
一方、多くの日本のメーカーが作る口当たりのサッパリした「ドラフト」は、冷やして作って冷やして飲むタイプ。「生ください!」で出てくるのは、これです。
あと、自然発酵というのもあるんですが、これは例外的なので、覚えておかなくてもよいです。ちなみに、ベルギービールに多いです。気になった方は試してみるのも一興。
……ビールに関しては以上です。簡単でしょう?
メニューにたくさんビールの名前が並んでいたら、国名を見て、軽いのが飲みたかったら南の国のを選ぶだけ。適当に指をさして「これはどこのビールですか?」と聞いてもよし。名前に「エール」って付いてたら、ちょっとコクがあると覚悟すればいいし。もう、簡単簡単。
あと、ビールの炭酸が苦手って人は、生ビールよりも瓶ビールをオーダーして、注ぐペースを調整して炭酸を飛ばすと飲みやすいですよ。これは同席してる女性に教えてもグー。なんなら「ビールは最初の一杯だけでいいよね?」と、1本のビールを分け合うのも、親近感が湧くいい手です。
■ワイン
これも突き詰めれば膨大な知識が必要となるお酒です。
だからこそ、生半可な知識は不要なんです。店員さんを捕まえて、好みを言って、適当に選んでもらう、これこそが正解です。
で、その好みの伝え方ですが、基本的に「重いか軽いか」でいいでしょう。あとは、店員さんに説明されたり聞き返されたときに、以下のキーワードを覚えていれば万事問題なしです。
赤ワインの場合
ボディがある:重い、ってことです。
タンニンがしっかりしてる:重い、ってことです。
華やか:軽い、ってことです。
スパイシー:軽いけど口当たりが個性的、ってことです。
白ワインの場合
フルーティー:文字通り、飲みやすいです。
樽香(たるこう)が高い:木の香りがする、しっかりした感じ。
甘い、辛い:白ワインにだけ使います。
「そんなに重くない赤ワインをお願いしたいのですが」と言ったとき、店員さんが「でしたら、これなどはきちんとボディはありますが、華やかな口当たりです。
こちらは、スパイシーながらも、後味にタンニンが効いています」とか答えてきます。そしたらアナタは慌てずにっこり微笑んで「じゃあ、最初の方を」とか言えばいいんです。
前回に引き続き、お酒デートについて見ていきましょう。
飲み会の流れで、勇気を振り絞って、女性と「飲み直し」に漕ぎ着けたとき、ここはやっぱり感じのいい「BAR」を使いたいですよね。
でも、普段あまり飲まない、飲んでもフランクな店ばかりだと、BARに対して苦手意識があるかもしれません。ということで今回は初心者でもBARを十全に活用できる「今さら聞けないBARに関する基礎知識」についてです。
誰でも、何度か通りがかったときに気になってる店、ありますよね?
ちょっと雰囲気がいいかもと思いつつも、何となく入っていない店。それがBARなら、その勘を信じてみましょう。「気になってて入ったことがない店があるんだけど、よかったら……」と素直に、知らないけど行ってみたいということを伝えて、足を運んでみましょう。もし行きたい店のアテがなかったり、知らない街だった場合、ネオン管でビールの名前が煌々と輝いているような店よりも、シンプルな外観のBARの方が「当たり」である可能性が高いかもしれません。
いずれにせよ、これはちょっとした冒険ですから、失敗しても体験の共有という意味で、悪くないデートとなるハズです。
BARというのは、そもそも「止まり木」を指す言葉ですから、カウンターがメインです。テーブルが無く、カウンターだけの店もありますし。もし店内ががらがらだったら、好きなところに座って構いません。バーテンダーに勧められた席に座っても、もちろんOKです。女性連れで入店したお客さんに、バーテンダーはそうそう変な席を勧めたりはしませんから。
少し怖いのをぐっと我慢して、堂々とカウンターに座れば、その後が楽になります。本当に。
さて。ここで早めに予算の不安を無くしておきましょう。ホテルの最上階や、誰でも知ってる有名店じゃない限り、BARはそんなに高くはありません。
チャージが500~1000円、飲み物が1杯1000~2000円、2人で3杯ずつ飲んだとして、安くて8000円、高くても15000円くらいだと考えればいいでしょう。
もっと単純に計算したいなら、おおむね1杯1300円くらい、と覚えておいてください。
それぞれ1~2杯をのんびり飲んで「お会計を」となったときに支払う金額は、1300円×2杯×2人で5000円ちょっとです。大丈夫、大丈夫。深酒さえしなければ、樋口一葉ひとりで何とかなりますし、諭吉先生ならひとりいればかなり安心です(笑)。
次はオーダーの仕方やバーテンダーとの対応について触れていきますよ。
「BARが苦手だ」という人には、バーテンダーとの対応がおっくうだ、という人が多いようです。自分に酒の知識がないことをバカにされるんじゃないか、上手に会話ができないから怖い、などなどのマイナスなイメージを持っているみたいです。
でも、バーテンダーは怖くありません。
というか、バーテンダーこそ、お酒デートの強い味方なんですよ。
まず、彼らが「サービス業」であることに気が付いてください。彼らの基本コンセプトは、お客さんを楽しませること、リラックスさせることです。
静かに飲みたいお客さんのために、彼らは普通、あまり話しかけません。ですから、会話が苦手なら黙っていていいのです。お酒を飲みに行って、変に気を遣う必要がないんですから。
そして、そのときに女性と同席していればなおさらです。彼らは決して邪魔はしませんし、なんならお酒初心者の助けにもなってくれます。バーテンダーは優秀な黒子だと考えていいでしょう。では、バーテンダーに助けてもらいつつの、賢いオーダーの仕方を見てみましょうか。
BARにはメニューがある店と、無い店があります。メニューがあった方が親切なように思えますが、BARに馴れてないならそもそも大量にお酒の名前が載っていても分からないのですから、メニューが無い方が気楽かもしれません。
オーダーするときは、前回のコツを応用して、とにかく聞いちゃう手です。アナタはドキドキを押し隠しきちんとカウンターに座っていますから、少し顔を上げてバーテンダーの視線を捕まえれば、彼らはまるで魔法のようにオーダーを取りに来てくれます。
もちろん、同席している女性に「決まった?」と確認はしておきましょう。やって来たバーテンダーに「何にいたしましょうか?/おきまりですか?」と問われたら、固有名詞を使わずに、こんな感じ、とオーダーしちゃえばいいんです。無理に「マティーニをドライで。シェイクではなくステアで。ピールはホンの軽くで頼むよ、ジェイ」とか言わなくていいんです。
ということで、以下に無難なオーダーの例を挙げておきます。参考にどうぞ。
「食事を済ませてきてお腹がいっぱいなので、何かデザートになるような甘いのを」
「あまりお酒が強くないので、軽めのを。甘くなくてもいいです」
「さっぱりしたのがいいんですが、ソーダとかでは割らずに」
「ジンは苦手なので、何か他のお酒をベースにして。強くても平気です」
ちなみに、最近は季節のフルーツを常備していて、それをアレンジしてカクテル(名前を付けるほどではない、シンプルな感じ)として出してくれる店が多くなってきています。
黒板などにそんなフルーツが書き出されてたら「洋梨を使って、あまり強くないのをお願いできますか?」とか頼んでみるのも簡単ですし、ハズれないで済みます。
男性側の「BARへの苦手意識克服」に対する手だての後には、もちろん女性との会話の盛り上げ方やらケアやらを考えなくてはいけません。
今回はBARでのアプローチ方法をお教えいたします。
BARのカウンターは2人を接近させるナイスなアイテムです。
お店の人に叱られない程度に椅子の角度を調整して、基本的には「2人だけの空間」を意識しましょう。
位置取りに関しての豆知識。あなたが一番奥、彼女がその隣に座るようにすると、彼女の視線の先にはあなたと壁しかありませんから、ちょっと効果的かもしれません。
次に、是非気をつけて欲しいのは、あまり勧めすぎないこと、です。
よかれと思っても「おかわりは? おかわりは?」と勧めてはいけません。
もしその女性がお酒に弱いのであれば、彼女は自分のペースで楽しく飲んでいるハズです。飲み干していても、まだ次を頼むには早いな、ということだってあります。なのにしつこく勧めるのは、親切ではありませんから。
ときおり、彼女のグラスを指して「どうする?」と聞いてあげるくらいにしましょう。
これで会話が盛り上がれば言うこと無しなんですが、常にそうそう盛り上がるとは限りませんよね?そういう困ったときに頼りになるのが、バーテンダーです。
頼んだお酒が出てきて、ひとくちふたくち飲んだあと、感想を告げるのが一番「話しかけやすいパターン」でしょう。
「これ、ジンに何を混ぜたんですか?(ジンベースで、と頼んだ場合)」
「カルバドスを少々、リンゴのブランデーです(たとえば、ね)」
「へぇ、しっかりしていて美味しいですね。(と、ここで彼女の方に向き直り)ちょっと飲んでみる?(彼女がひとくち飲む)どう? リンゴのブランデーなんて飲んだことなかったなぁ。知ってた?」
こうやって、バーテンダーとのやり取りで始まった会話を、さりげなく彼女とのモノに戻しちゃうんです。バーテンダーに話しかけ始めた会話でも、軽く会釈するだけで会話を切り上げてしまって構いません。彼らは他の仕事をしに、すすーっと音もなくカウンターの中を移動していきます。
どうですか? 思ったより、簡単だったんじゃないでしょうか?
あとはもう、あなたもお酒を楽しめばいいだけですから。
ただし。くれぐれも飲み過ぎないように、と蛇足ながら付け加えておきます。
初デートで沈没したら、シャレになりませんからね……。