過去の失恋をいつまでも引きずってしまう村瀬さん(23歳・仮名)は、恋愛に限らず全ての面においてイジイジウジウジした“だめんず”。会社でも、そのダメっぷりをいかんなく発揮しているよう。
「新入社員ですから、わからないことも失敗も多いじゃないですか。それでよく叱られたり怒鳴られたりするんですけど、そのたびに凄く落ち込んで、なかなか立ち直れないんですよねえ。何度辞めようかと思ったことか。いつも直属の上司や先輩に慰留されるんですけどね」
叱るたびに辞めたがるって、それは上司や先輩も大変だ。大体、そういう辞める、辞めると言う男に限って、まず辞めないんだけどね。そんな勇気もないし。
「そんなことないですよ!失敗するたびに『なんて自分はダメな人間なんだろう。このままじゃ、いつまで経っても一人前の社会人になれない……』って落ち込みますもん。それで周りの人たちに相談したりするんですけど、どういうわけか最近はみなさん素っ気ないんですよねえ(ため息)」
そりゃ、そうだ。入社当初だったらともかく、入社半年にもなろうかという時に、新人の泣き言なんて聞いている暇はないって。ビジネスマンは忙しいんだから。
「それはそうなんでしょうけど……。なもんで、先輩OLの方々にも相談したりして、初めは落ち込んでいたりすると、声をかけて励ましたりしてくれていたんですけど、やっぱり最近はあまり相手をしてくれないかというか……」
カワイイ新人が落ち込んでいたりしてれば、先輩OLも最初は気にかけてくれるけど、そんな毎回毎回ヘコんでいる姿を見せられれば当たり前だって。先輩OLの間では「女々しい男」だって思われてるかもしれないよ?
「そんな、僕は真剣に悩んでいるのに……。でも、みなさん、最初こそ親身になって接してくれるのに、いつの間にか相手にしてくれなくなるんですよね。しょせん、会社の人間関係ってそんなもんなんですかね。何だか寂しいです」
というよりも、それは村瀬さんの悩みが大して深刻なものじゃないからでしょう。 ただ「辞めたい、辞めたい」って言っているだけだもん。 「悩む暇があったら、もっと努力しろよ!」って、みんな言いたいはずだよ。 村瀬さんの場合、悩んでいるというよりも、自分が悩んでいることを周りにアピールして、それで他人の気を引きたいように感じるんだよね。自分はこんなにダメな人間なんだ、とアピールしておいて、相手からは「そんなことないよ」って言われたいだけだという……。そうじゃない?
「でも、落ち込んでいる時には、誰でも『そんなことないよ、大丈夫だよ』って励まされたいもんじゃないですか。それがそんなにいけないことですか?」
だから、それが度を過ぎるとただの甘えでしかないんだって。要は、自分にかまって欲しいというだけ。結局、恋愛でも同じスタンスなのだろう。“失恋に傷つく繊細なオレ”みたいなイメージを演出して、女性の気を引こうという……。きっと、村瀬さんのような人は自己愛が強すぎるのだろう。“自分大好き”もいいけど、恋愛というのは他人を愛すること。愛情の対象を自分以外にも向けられないようでは、この先恋愛もままならないだろう。