今回紹介する桑田さん(40歳)はルックスもよくて仕事もできるし、カネだって持っている。普通に考えれば、女性にモテないわけがないのだが、ここまで独身であることが示すように、なかなか恋愛が上手くいかない。
実際に接してみれば、それもそうかな、という感じではある。
「別に、俺は恋愛が上手くいっていないとは全然思っていないけどね。別に、結婚したいというわけでもないし。俺に言わせると、むしろ今まで付き合ってきた女性のほうに問題があったんじゃないか、と思ってるけどね」
ねっ、感じ悪いでしょ。彼の職業はグラフィックデザイナー。
それだけに美意識やライフスタイルの細部にまでこだわりを持っている。
「大体、女性ってのは、いろんなことに、こだわりがなさすぎるよね。俺の部屋のインテリアに合わないようなクッションとか、勝手に持ち込んだりしてさ。そういう女性は俺と付き合う資格はないね」
40歳まで独身を貫き通してきただけに、料理や洗濯、掃除などもすべて自分でこなす。
料理にしても、食材を吟味して調理法にもこだわっている。単に腹を満たすための料理ではない。イタリアンやフレンチが得意なのだそう。食に関する造詣も深い。
「家庭的なところをアピールしたいのか、女性ってよく手料理を振る舞おうとするんだけど、オムライスとか肉じゃがとか作られてもね。たいして美味くもないし。作るからには、もっとちゃんと作って欲しいよね。大体、料理というのは……」
実は、延々とうんちくが続くのだが、長いのでカットさせてもらった。
口を開けば、うんちくばかり。しかも、一言余計だったりする。
こだわりを持っていると言えばカッコいいが、悪く言えば偏屈。
これでは女性がドン引きするのは仕方ないのではないだろうか。
「俺は結婚できないんじゃなくて、結婚しないだけなの。言葉は正確に使って欲しいね。そもそも、俺の眼鏡にかなう女性が少なすぎるよ」
これである。
容姿や富、モテる要素を持っていながら、付き合う女性が次々と去っていくのは、この彼の唯我独尊的な態度が災いしているのは間違いない。といっても、彼は意地でもそれを認めないのだが……。
桑田さん(40歳)は偏屈でウンチク自慢な男。その知識は衣食住の多岐にわたる。
しかも、ウンチクだけでなく余計な一言が多いために、イケメンにもかかわらず恋愛に恵まれない。
まあ、本人は断じてそれを認めないわけだが……。そんなウンチク自慢ぶりがたたってか、恋人だけでなく、同性の友人とも会話がかみ合わないことがしばしば。先日も友人に誘われた合コンで、ウンチクを語る語る、延々と。
「余計って言うけど、俺は間違ったことをそのままにしておけない性分だからさ。料理の食べ方の作法とか洋服の着こなしとか、間違ってるから指摘してやるわけだよ。ただ指摘するのもなんだから、その根拠なんかもしっかり説明してやるわけさ。俺は最低限の常識を教えてやってるだけ。何か問題ある?」
それは常識ではなくて、ただのウンチクです。しかし、博識なんだから話題豊富なはず。
博識というのはモテ要素のはずなんだけど、彼の場合はプレゼンの仕方が悪いのだろう。
以前にも参加したツアー旅行でガイドよりも詳しく語り、ガイドを泣かせて場をしらけさせたことがあったという。
「プロなんだから、泣くことはないだろ、泣くことは。ガイドのくせに知らないことがあるというのは恥ずかしいことなんだから、泣くヒマがあったら勉強しろ、と俺は言いたいね。そういうプロ意識のない奴は大嫌いなんだよ」
このように完璧主義者でもある。自分に妥協を許さないが、他人にも妥協を許さない。
付き合いづらいこと、この上ない。彼のルックスや高収入にひかれて実際に付き合ってみても、女性は彼のキャラに辟易し、すぐに彼の元を去ってしまう。
「去る者は追わずだよ。大体、結婚なんて“百害あって一利なし”だろ!?」
こんな性格だから、食事も遊びも行動は基本的にいつも独り。自宅に人を招くこともほとんどない。寂しくないのか?
では、そんな桑田さんの華麗な(?)シングルライフを紹介したい。
桑田さん(40歳)は自分にも他人にも妥協を許さない性格のため、女性と付き合っても長く続かない。ルックス・高収入と女性にモテる要素は備えているため、女性の食いつきはいいのだが、 そのキャラが災いし、 女性たちはすぐに彼の元を去ってしまう。
そんなこともあってか、彼のライフスタイルは“ひとり”が基本。
「食事やショッピングも基本的にひとりだね。どこにだってひとりで行くよ。“ひとり焼肉”もぜんぜん平気だしね。大体、タン塩よりもタレ付きのカルビを先に焼こうとするような女と焼肉を食っても、ひとつも美味くないよ」
せっかく好きな女性との焼肉なんだから、肉を焼く順番ぐらい大目に見てやればいいのに。
まったく融通が利かないことこの上ない。
焼肉の美味さよりも彼女と食事を楽しむのを優先することはできないものか。その上、焼肉に関するウンチクを延々と聞かされるわけだから、女性としてはたまったもんではない。
「俺は礼儀・作法とか、人としての基本がなってない女はダメなの。そんな女はこっちから願い下げだね」
流行りの言葉で言えば、“KY”(空気が読めない)とは彼のことを指すのだろう。
いずれにせよ、こんな性格だから“いつもひとり”。趣味やスポーツだって、ひとりでできるものばかりだ。
「趣味はクラシック音楽鑑賞、レンタルDVD鑑賞、船舶などの模型作り、あと料理も好きだね。スポーツはジョギングとかスカッシュをよくやるね。スカッシュはほとんど“壁打ち”だけどね。好きな理由?ひとりでできるからに決まってるじゃないか。趣味というのは、仕事とか世間との付き合いという“日常”から、本当の自分自身に戻れる時間なんだよ。そこに他人が存在する必要はないね」
もちろん、女性と付き合おうとも、仮に結婚したとしても、彼はこうした“自分自身に戻れる時間”をパートナーのために少しでも割く気はないのだろう。考えてみると彼の場合、性格だけでなくライフスタイルも彼自身で自己完結できるようになっているのだ。
40歳までこのスタイルを貫いてきたのだから、これからそれを変えるのは並大抵のことではないだろう。
「というか、なぜ変えなきゃいけないの?結婚できないから?何度も言うようだけど、俺は結婚できないんじゃなくて、結婚しないだけなんだよ。そこら辺を誤解して欲しくないね」
などと強弁するものの、今はまだ女性の方から寄って来るから寂しさも感じないだろうが、
これから歳を取っていくにつれ人間関係もさらに希薄になり、孤独感に悩まされるに違いない。そのときも、まだ「俺は結婚できないんじゃなくて、結婚しないだけ」などと強がっていられるだろうか。