男性は恋人の「最初の男」に、女性は「最後の女」になりたがる傾向があるそうです。
好きな彼と無事恋人同士になれたとしても、彼の“前の恋”が気になってしまうもの。
そんな時、ゆれる女ゴコロを安心させてくれるのが今回の恋愛格言です。
昔の彼女がどんな女性だったのか、彼がどんな愛し方をしたのか、
どうしても気になるモヤモヤをいっぺんに吹き飛ばし、
自分が彼の人生でいかに最高の女なのかを納得させてくれる名セリフですよね!
今回の恋愛格言は、アメリカを代表するハードボイルド作家 アーネスト・ヘミングウェイの代表作『誰がために鐘は鳴る』(たがためにかねはなる)に登場します。
1936~1939年に起こったスペイン内乱の中、スペインを救うために参戦したアメリカ人のロバート・ジョーダンと、戦争によって両親を殺され自らも過酷な体験をしたスペインの人の娘マリアとの悲恋を描いた作品です。
1943年にはゲイリー・クーパーとイングリット・バーグマンという、時代を代表するスター俳優の共演で映画化されました。
ふたりは惹かれあい、結ばれて、戦争後に結婚しようと誓いますが、初恋のマリアは、ロバートの豊富な女性経験が気になっていました。
そしてファシスト軍によって暴行され、髪を切られて坊主頭になっていることに負い目を感じ、彼がいつか心変わりをしてしまうのではないかと心配でしかたありません。
するとロバートは、マリアがいかに美しく魅力的かやさしく語って聞かせ、
「きみと会うまで、ぼくは、ひとりの女をこんなに深く愛せるとは思っていなかった」
と言って安心させるのです。
少女漫画や恋愛小説では、歯の浮くような愛の言葉があちこちに登場しますが、実際の男性は口下手な人のほうが多いようです。
“背中で語る男”や“不言実行”も男らしくてステキですが、時にはロバートのように気持ちを言葉にして伝えるのも、愛を長続きさせるヒケツですよ。
今週の恋愛格言をのこしたのは、アメリカの小説家で詩人でもあったアーネスト・ミラー・ヘミングウェイです。
戦争・闘牛・ボクシング・狩猟など、男性ならではの逞しく戦闘的なテーマを扱った作品が多くの読者に愛され、『日はまた昇る』、『武器よさらば』、『誰がために鐘は鳴る』、などが映画化されました。
最も有名な代表作である『老人と海』は1952年にピュリッツァー賞、1954年にノーベル文学賞を受賞しています。
不要な部分を徹底的にそぎ落とした文章は、ヘミングウェイ独特の乾いた空気感を生み出し、内戦下のスペインや熱狂する闘牛場、真昼のカリブの砂浜といった情景を生き生きと浮かび上がらせます。
ごくシンプルな文体でありながら、見えないはずの行間には、闘いに臨む男の緊張感、戦時下の街にひろがる虚無感、死を前にした人間の覚悟などが表現されており、アメリカを代表するハードボイルド作家として現在も世界中で愛されています。
アーネスト・ヘミングウェイは、現在のシカゴにあたるイリノイ州オークパークに医師の長男として生まれました。
高校卒業後に新聞記者として働き、第一次世界大戦からはじまった世界の動乱の中で、赤十字要員として、また特派員記者として数々の戦争に従軍しています。
戦争の実体験をベースにした初の長編小説『日はまた昇る』が世界中から高い評価を得てからは、次々に話題作を発表する世界的なベストセラー作家となっていきました。
ドラマチックな作家人生を駆け抜けたヘミングウェイは、熱烈な恋愛を経て4度の結婚をしています。
マッチョなアメリカ人男性の理想像としてモテたのは間違いありませんが、あまり良い夫ではなかったのかもしれませんね。