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| vol.55 門限が厳しくてゆっくりデートもできません。 |
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私は今大学3年です。両親と一緒に暮らしています。付き合い始めて半年の彼がいるのですが、門限が厳しくゆっくりデートすることもできません。両親の心配もよくわかるのですが、私はもう大人ですし、もうちょっと信頼してくれてもいいと思うのですが、どうやって両親を説得するべきかわかりません。へたすると、付き合っている彼に何か吹き込まれたんじゃないかと疑われそうです。どうしたらいいでしょうか。 |
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これは、恋愛問題の相談というよりは、親子問題の相談です。要するに、ご両親が門限に厳しく、あなたが自由に生活できない、ということが、根本的な問題なのだと思います。あなたは「自分は20歳過ぎていて大人なのに、もう少し自分を信用してほしい」と思っているようです。
結論から言ってしまうと、あなたのご両親が、あなたを信用することなどありえません。何しろ、あなたはまだ学生で、おそらくご両親に生活費はもちろん、学費も出してもらっていることと思います。その状態では、年齢的に大人でも、社会的には半人前。自由を認めてくれと言うこと自体が、間違っています。おそらくあなたのご両親は、あなたに毎月、何十万円もの出費をしています。普通、社会でそんなにお金をもらっている場合、相当の働きを要求されます。あなたは現在、親に雇われている状態なのです。
では、あなたがすべき働きとは何でしょうか? 「まじめに大学にいくこと」と思っているかもしれませんが、そうではありません。あなたの仕事は、ご両親にとって「良い子であること」です。言いかえれば、あなたが良い子であってほしいという気持ちだけで、ご両親はあなたのバカ高い維持費を払っているのです。
親それぞれ「良い子」の定義はさまざまです。あなたのご両親の場合「門限を守る」ことは、良い子の条件として重要だと思っているのでしょう。あなたが親に雇われている限り、少なくとも親の前では「良い子」を演じるしかありません。それがイヤなら、親の保護を離れ、一人で生きていけば良いのです。あなたが自分で言っているように、あなたは既に大人です。もう十分に一人で生きていけると思います。だいたい、これから不況が長引き、年金制度も保険制度も崩れ始めるのは目に見えています、あなたのご両親は、本来あなたになどお金を使わず、老後の為に貯金すべきなのです。どうせ、大学を出たからと、良い就職口があるわけでもないのですから。けれど、大学を出る、出ないはあなたの問題です。あなたが、どうしても大学を卒業しておきたいというのであれば、「良い子を演じる」という仕事が、一番効率の良いバイトになります。
ここで注意しておかなければいけないことがあります。実は、親というのは子供が何歳になっても、どんなに独立しても、どんなに社会的地位が高くなっても、子供を心配します。言いかえれば信頼してくれません。私は既に43歳で、妻も子供もいて、本も何冊も出版して、十分に一人前と言えます。それでも私の親は会うたびに「あんた、最近、仕事どうなん?うまいこといってる?」「東大の先生やめたの?大丈夫なん?」と心配顔できいてきます。ほんっとうに大きなお世話です。そんなわけですから、あなたが大学を卒業しても、あなたのご両親はあなたに門限を強要するかもしれません。友達の両親はもっとものわかりがいいのに、と嘆く気持ちもわかりますが、親は選べないので仕方ありません。第一、子供を虐待して殺してしまう親だって珍しくないのですから、あなたのご両親は、十分にアタリの部類だと思います。ただ、就職したのに門限にうるさいような場合、ぜひ、親元を離れ独立することをお勧めします。親には、たまに会った時だけ、心行くまで心配させてあげればいいのです。
さて、ここまでは「親子問題」です。ここからは「ではその制限の中で、いかに彼とつき合うか」という、具体的な問題にうつりましょう。
あなたのとるべき基本的な道は、門限を守りながら彼とのつきあうか、家を出て思う存分彼とつきあうか、どちらかです。ただし、家を出てしまうと、門限ではなく、労働時間にはばまれて結局、思うようにはつきあえないかもしれません。大学もあと1年少しのことです。無難に門限を守りながらつきあうのが一番のように思えます。
これだけでは、せっかく相談したかいがないと思うので、ちょっとズルい方法を伝授しましょう。
一つは、あなたではなく、彼を信頼してもらう方法。彼が好青年で、出身大学や就職先がよく、親の受けがよさそうな場合、しかも彼がものすごく協力的な場合のみとれる手段です。まず、デートに行くときは、彼にあなたの家まで迎えにきてもらい、きちんとご両親に挨拶してから出かける。帰りも送ってもらう。時には、手土産も買って帰る。それを毎回、繰り返す。もし、門限が間に合いそうにない場合は、あらかじめ、詫びの電話をかけてもらってから、きちんと送ってもらう。これを何ヶ月か続ける。彼は、あなたとまじめにおつきあいしているのだ、といつもアピールしてもらうわけです。ご両親は、あなたのことは子供だと思っていますが、相手がちゃんとした大人だと思えば、ある程度安心して自由にしてくれます。
もう一つは、友達をダシに使う方法。親が安心するような、まじめそうで、ハキハキした女の子を家に招待します。ご両親が彼女を気に入ったら、彼女と親しいことを強調します。あなたの家にも、何度か泊まりにきてもらったりもします。で、頃合をみつけて、彼女の家にも泊まりにいきたいと両親に頼みこみます。お泊りはNGでも「じゃあもう少し遅い時間までなら」と門限を遅くしてくれる可能性は高いでしょう。もちろん、泊まりがOKなら、ラッキーですね。これは、バレたら大変めんどうです。要するに、「良い子である」という仕事をさぼるわけですから。最悪「良い子」を失業するかもしれません。実行するときは、その覚悟でやりましょう。 |
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1958年大阪府生まれ。作家・評論家。アニメ・ゲーム制作会社「ガイナックス」創業。NHKアニメ「ふしぎの海のナディア」などを制作。著書に「東大オタク学講座」「人生テスト」「フロン」「ぼくたちの洗脳社会」など。 |
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