八年付き合っていても結婚してないというのは逆に互いにそれほど思いが強くないからということも言えるかも。ただ「好き」と伝えたら「カノジョと結婚を約束してしまったんだよ」と彼が言ったのは、あなたと寝たあと、やっぱりカノジョが良かったという気持になったときのために、自分に逃げ道を作っておきたいんでしょうね。
結婚を約束してはいても、まだ結婚したわけではないのだから、カノジョ以外の女性と付き合ったって、それを浮気とは言えないでしょう。
本当にあなたのことが好きなら、四の五の言わずに付き合えばいいのに。
それを迷うというのは、あなたに対する彼の気持ちにまだ確たる自信がないのでしょう。
でもだからといって、男と女がこんなに惹かれ合っているのに、しかもまだ互いに独身な二人が、ここまできて踏みとどまることができるでしょうか。
私には、どう見ても、行き着くところまで行き着くしかないように思われるのですが。
彼があなたのことを“モテる女、男友達がいっぱいいる”という認識を持っていようが、彼が自分の事を“モテない男、取り柄の無い人間”と思い込んでいようが、惹かれ合っているならどうでもいいことです。ただ新しいものは何でもよく見えるもの。
突き進んでみて、「やっぱりカノジョのほうが良い」と彼が言い出す可能性もあるでしょう。
『源氏物語』でも、匂宮は浮舟と出会った当初は「なんて素晴らしい女なんだ。片時も離れていては死んでしまう」とまで思いつめていたのですが、そのさなかにも作者の紫式部は「そうはいっても浮舟は実は、匂
宮の妻の一人の中の君(浮舟の異母姉)と比べれば劣り、まして正妻の六の君とは比べようもないほどである」と付け加えるのを忘れません。
けれどもあなたにとって希望があるのは、なんといっても彼とカノジョが八年も付き合いながら結婚していないということで、それは互いに若いからという理由もあるでしょうが、結婚に踏み切れるほどの気持はないということもあり得ます。
ただ八年も付き合っていれば倦怠期の夫婦みたいなもので、結婚と恋愛は別ということもありますから、あなたは彼の恋愛相手としか見なされず、結婚はあくまでカノジョということになる可能性もあるでしょ
う。
いずれにしてもまだ二十五歳。
たった一度の人生なのだから、悔いの無いよう、突き進めばいいと思います。